人材採用

顧客の成長戦略と向き合い新たな雇用を創出していく【アクシスコンサルティング】

少子高齢化、グローバル化が進む中で、優秀な人材が活躍できる場を創出することで日本経済の発展に寄与したいというアクシスコンサルティング。代表取締役社長の山尾幸弘氏に、そのための取り組みや今後の人材紹介業の展望について話を聞いた。

アクシスコンサルティング

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山尾 幸弘 代表取締役社長

1962年東京生まれ。大手食品メーカーにて営業・マーケティング業務を担当。92年国内系エグゼクティブ・サーチ会社へ入社。同社取締役を経て、2002年アクシスコンサルティングを設立、代表取締役社長に就任。

アクシスコンサルティング(AXIS)の主要事業を教えてください。

当社は、コンサルティング業界を中心とした人材紹介事業、日系企業を対象にしたグローバルビジネスのコンサルティング事業、子会社のJCMSが手がける中国・アジアのビジネスを支援するコンサルティング事業を行っています。これら三つの事業は、企業のビジネスの課題を解決するという意味で相互深く関連しています。

AXISで手がけている人材紹介事業の特徴を教えてください。

当社の人材紹介は、コンサルティングファームに特化して事業を拡大してきました。最近は、事業会社の成長戦略に合わせた即戦力としての経営幹部やスペシャリストの求人で、コンサルティングファーム出身者のニーズが高まっています。一方、コンサルティングファームでも事業会社で経験を積んだ人材という求人ニーズが高まっているのです。そのため、クライアントはコンサルティングファームから事業会社へと対象が拡大しています。

コンサルティングファーム出身者は、専門性を有しながら、事業経営にも明るいということが高く評価されていますね。経営に向き合って問題解決を図れるだけの経験をもっている方が多いのです。コンサルタント自身も、顧客にアドバイスをするだけではなく、実際に事業会社に入って自分の能力を活かしたいという希望があります。コンサルティングファームと事業会社の求人はたすき掛けのような構造になっていて、一種のキャリアパスとして機能しているという感じでしょうか。

そのため当社の人材紹介事業は、一般的な人材紹介を行うだけでなく、事業の方向性自体を変革したいと考えている企業のニーズにも十分に対応できるようになっています。

今後の人材紹介事業については、どのような方針を考えていますか。

現在の人材紹介業は、前提として企業や求職者のニーズに基づいて行われています。つまり、すでに顕在化している求人に対して、どのように対応していくかということです。しかし、これまでのスタイルでは企業のニーズに対応できなくなる可能性が高いと考えています。

例えば、ドイツでは第4の産業革命、いわゆる「インダストリー4.0」と言われる動きが進んでいます。製造業においてデジタル化を進めることで自動化し、製造コストを大幅に削減するというプロジェクトです。このような変革に対応するためには、顧客企業の課題を洗い出して事業成長の提案をしながら、その課題解決の手段として人材を紹介する方向に進化していかなければならないと思っています。そうした解決型の提案ができる人材紹介会社が、これからは生き残っていくのではないでしょうか。

今後は顧客企業のニーズに合わせて技術・開発、金融、会計、M&A、経営、事業再生といった深い専門性を磨いてより高度なサービスを提供していかなければならない。すでに、そういう時代に差し掛かっていると感じています。

ビジネス課題の解決に向けた採用ニーズに対応

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グローバルビジネス事業について、どのような取り組みを行っているのでしょうか。

グローバル事業には二つの方向性があります。一つはミドルからシニアエイジの雇用創出です。国内企業のグローバル戦略に合わせて、複数の国での商習慣を経験しているスペシャリストを確保して、顧客企業の課題解決の期待に応えています。また、顧客企業からは中国・アジアで業務の拡張や発展に伴って人材難に陥っているという切実な声が上がっています。当社の子会社であるJCMSが中国で事業展開をしているということもあり、東アジアの日系企業に対する人材紹介事業を強化しています。

もう一つは、中国企業に日本の製品や部品を売り込みたいという日系企業のためのビジネスコンサルティングです。例えば、日系の大手部品メーカーが中国企業に対する売り込みで苦戦していた製品を、当社が中国大手メーカーのニーズを汲み取り、仲介することで売り込みに成功しています。

JCMSは、どのような事業を展開しているのですか。

主なユーザーは中国の製造業です。背景として、中国の製造業が生き残りをかけて、自社の技術や生産体制を本格的にイノベーションしなければならなくなっていることが挙げられます。中国のパートナー企業を通じて現地調査を行って経営と事業を分析し、問題解決の手段を提案して改善の実行を支援しています。

製造業においては、日本の製品や技術水準が必ずしも最適というわけではありません。過剰品質だったり、現地のニーズに合わなかったりということが多々あります。対して中国企業は、現地において必要な日本の技術や製品を活用したいと考えている。

そのために私たちが間に入ってマネジメントを行い、現地のローカルな事情や事業戦略などを汲みながら、日本の製品や部品を供給していくという流れを作っています。日中間では政治の問題もありますが、民間レベルでは世界市場を攻めるために連携して問題解決を図らなければならなくなっているのです。

中国企業のためのR&Dセンターも展開していますが、どのような戦略で行っているのでしょうか。

発想の原点になったのは、大手外資系通信会社の戦略です。数年前に同社のトップから「なぜ日本法人が設立されたのか」という話をうかがう機会がありました。日本法人は製品を日本のマーケットで売るためでもあるのですが、実はそれよりも大きな目的がありました。

製品をワールドワイドに展開していくために、日本のデバイス技術の研究や市場調査を行い、その情報から製品開発や生産サービスを見直すことだったのです。こうした考え方を参考に、当社の中国事業は日本の技術や人材を欲しがっている中国の製造業者に対してただ人材を紹介するのではなく、最終的には日本の企業と提携させることを目的としています。

そのためには日本にR&Dセンターがある方が優秀な人材を集めやすいし、製品開発のための技術提携や調査研究も行いやすいのです。現在、優先的に取り組んでいるのはEVなど自動車関係ですが、それ以外の環境技術の話もありますし、製品の開発だけではなく生産管理を改善したいというニーズも非常に多い。求められているのは日本の先進の技術というより少し前の技術なので、日本企業の失敗経験も生かされます。

このように人材を紹介して短期的な利益を得るより、日中企業の提携という形で関係を結ぶことで、日中それぞれの企業が中長期的にWin-Winな利益を得ることができるようになっています。

「深い専門性を磨いてより高度なサービスを提供していかなければならない」

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今後の成長戦略と事業展開を教えて下さい。

コンサルティングファームや事業会社への人材紹介、プロフェッショナルの人材派遣、グローバルなビジネスコンサルティングという三つのサービスを展開しながら、常に顧客企業の成長戦略と向き合える環境を作りだすことで、何か課題が見つかった際には最初に相談を受けることができる体制を構築していく方針です。

顧客企業のニーズも細分化していきますから、専門性が高まっていく中で専門のコンサルティング会社とも連携して課題解決を図っていきたいと考えています。

こだわっているのは、企業のニーズに密着して成長のための事業を提案し、雇用を創出していくという仕組みづくりです。人材紹介事業にビジネスコンサルティングを加えて企業の成長にビジネスパートナーとして積極的に介在していくのが、当社が推進している人材紹介事業の新たな形態です。

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